top of page

建築資材メーカーを知る④ サッシ編

9月19日
読了時間: 16分

窓は、住宅の断熱性能を左右する

建物の断熱性能を考えるとき、壁や天井に入れる断熱材へ目が向きがちです。

しかし、実際に熱が大きく出入りする場所は「窓や玄関ドアなどの開口部」です。

一般社団法人日本建材・住宅設備産業協会の試算では、平成11年省エネルギー基準相当の住宅において、冬の暖房時に外へ逃げる熱の約58%、夏の冷房時に外から入る熱の約73%が開口部を経由するとされています。

つまり、壁や天井の断熱性能を高めても、窓の性能が低ければ、住宅全体として十分な効果を発揮できない可能性があります。

ただし、この58%・73%という数字は、特定のモデル住宅と条件による試算です。すべての住宅で同じ割合になるわけではありません。

それでも、住宅の温熱環境において窓が非常に大きな役割を担うことに変わりはありません。

サッシ選びとは、単に枠の色や開き方を選ぶことではなく、断熱、気密、日射、防音、防犯、換気、眺望、耐久性をまとめて設計することなのです。


▽そもそも「サッシ」とは何か

サッシは英語の「sash」に由来し、一般には窓ガラスを保持する枠と、開閉する障子部分を指します。

日本では、建物側へ固定する「枠」と、その中を動く「障子」を合わせてサッシと呼ぶことが多く、ガラスまで組み込んだ製品全体を「窓」と呼びます。

窓の性能は、次の要素を組み合わせて決まります。

  • サッシ枠の材質

  • ガラスの種類と枚数

  • ガラス間の中空層

  • スペーサーの材質

  • 開閉方式

  • 気密材やパッキン

  • 窓の大きさと方位

  • 施工精度

  • 庇、外付けブラインド、シェードなどの日射遮蔽

高性能なガラスを入れれば、それだけで高性能な窓になるわけではありません。枠、ガラス、開閉方式、取付方法を一体で考えることが重要です。


▽サッシの歴史――木から鉄、アルミ、樹脂へ

日本の伝統的な住宅では、木製の柱や敷居、鴨居に、障子、板戸、雨戸などを組み合わせて開口部を構成してきました。

木は熱を伝えにくく、加工しやすい素材ですが、気密性や水密性を安定して確保するには、材料選定と職人の技術が必要です。木の収縮や反りによって建具の動きが変わることもありました。

明治以降、西洋建築の導入とともに、公共建築や工場、オフィスビルではスチールサッシが使われるようになります。細い枠で大きなガラスを保持でき、防火性や強度を確保しやすい反面、重量があり、錆びやすく、断熱性が低いという弱点がありました。

戦後、高度経済成長期に入ると、軽く、量産しやすく、加工性と耐候性に優れたアルミサッシが急速に普及します。1960年代から1970年代にかけて、木製建具に代わる住宅用建材として全国へ広がり、住宅の気密性、水密性、施工性は大きく向上しました。

一方で、アルミは熱を非常に伝えやすい素材です。

1970年代のオイルショック以降、省エネルギーへの関心が高まり、複層ガラス、断熱アルミサッシ、樹脂サッシなどが徐々に開発されました。寒さの厳しい北海道や東北では樹脂サッシの普及が進み、本州以南ではアルミサッシが長く主流となりました。

その後、アルミの耐候性と樹脂の断熱性を組み合わせたアルミ樹脂複合サッシが登場します。2000年代以降はLow-E複層ガラスやアルゴンガス入りガラスが一般化し、2010年代には樹脂枠とトリプルガラスを組み合わせた高性能窓も広がりました。

現在は、単に「アルミか樹脂か」を選ぶ時代から、建設地の気候、方位、日射、窓の大きさ、建物全体の断熱性能に合わせて、窓を使い分ける時代へ移りつつあります。

・アルミサッシ

アルミサッシは、アルミニウムの押出形材によってつくられています。

軽量で強度があり、細いフレームや大開口をつくりやすく、耐候性、寸法安定性、加工性にも優れます。価格と流通面でも扱いやすく、住宅、マンション、店舗、オフィスなど幅広い建物で使われてきました。

一方、最大の弱点は熱伝導率の高さです。

室外の冷気や熱気が枠を通じて室内側へ伝わりやすく、冬は枠部分に結露が生じやすくなります。ガラスだけを複層ガラスに替えても、アルミ枠が熱橋となり、枠まわりの冷えが残ることがあります。

現在でも、非居住部分、店舗、倉庫、温暖地、コストを優先する建物などでは有力な選択肢です。また、ビル用サッシや大開口、カーテンウォールでは、強度と耐久性を活かしたアルミ製品が中心です。

住宅の居室で採用する場合は、単板ガラス仕様ではなく、複層ガラスと組み合わせた製品を基本に考えたいところです。

・アルミ樹脂複合サッシ

アルミ樹脂複合サッシは、屋外側にアルミ、室内側に樹脂を使用したサッシです。

屋外側ではアルミの耐候性、強度、意匠性を活かし、室内側では樹脂によって熱の伝わりを抑えます。日本の住宅市場では、断熱性能、価格、耐久性、流通性のバランスに優れた製品として広く採用されています。

外側をアルミとすることで、フレームを比較的細く設計しやすく、大きな窓にも対応しやすい点が特徴です。

ただし、「複合サッシ」であればすべて同じ性能というわけではありません。

アルミと樹脂の配置、枠内部の空気層、断熱材の有無、ガラスの納まりによって性能が変わります。製品を比較するときは素材名だけでなく、窓全体の熱貫流率であるUw値を確認する必要があります。

Uw値は数字が小さいほど、熱を通しにくい窓です。

・樹脂サッシ

樹脂サッシは、主にPVC(塩化ビニル樹脂)を枠に使用した窓です。

アルミと比較して熱を伝えにくく、室内側表面の温度が下がりにくいため、断熱性の向上と結露の抑制に有効です。複層ガラスやトリプルガラスと組み合わせることで、高い断熱性能を確保できます。

北海道や東北などの寒冷地では早くから普及してきましたが、現在は関東以西でも採用が増えています。

注意したいのは、樹脂サッシだから必ず高性能とは限らないことです。

樹脂枠の構造、補強材、ガラス仕様、窓の開き方、サイズによって性能は異なります。また、アルミよりも枠を太くする必要がある製品が多く、ガラス面積や外観の印象が変わることがあります。

濃色の樹脂枠は日射による温度上昇の影響を受けるため、設置方位や製作可能寸法にも注意が必要です。

・木製サッシ

木製サッシは、木が持つ低い熱伝導率と、自然素材ならではの質感を活かした窓です。

枠そのものの断熱性が高く、トリプルガラスと組み合わせた製品には、パッシブハウスなど高断熱住宅へ対応するものもあります。

木の表情は室内空間との相性がよく、住宅、別荘、ホテル、教会、文化施設など、意匠性を重視する建物に適しています。既製寸法だけでなく、オーダー対応や大型建具を得意とする専門メーカーもあります。

一方で、屋外側の木部は紫外線、雨、湿気の影響を受けるため、塗装や定期的なメンテナンスが必要です。

現在は、屋外側をアルミで覆ったアルミクラッド木製窓もあります。室内側では木の質感を楽しみながら、外部の耐候性を高められる構成です。

木製サッシは「手入れが必要な建材」ですが、適切に維持すれば補修や再塗装が可能です。交換を前提とした工業製品とは異なる、育てながら使う建材ともいえます。


▽ガラスの種類を知る

サッシの断熱性能を考えるうえで、枠と同じくらい重要なのがガラスです。

・単板ガラス

1枚だけで構成された一般的なガラスです。

以前の住宅では広く使われてきましたが、断熱性は低く、冬は室内側表面の温度が下がりやすいため結露が発生しやすくなります。

既存住宅で単板ガラスが入っている場合、ガラス交換、内窓設置、サッシ交換による改善効果を期待できます。

・複層ガラス・ペアガラス

2枚のガラスの間に中空層を設けたガラスです。

中空層の空気が熱の移動を抑えるため、単板ガラスより断熱性が高くなります。中空層へアルゴンガスなどを封入し、さらに断熱性を高めた製品もあります。

一般に「ペアガラス」は複層ガラスを指す呼び方ですが、ペアガラスであればすべて同じ性能ではありません。ガラスの厚さ、中空層の幅、封入ガス、Low-E膜の有無で性能が変わります。

・トリプルガラス

3枚のガラスと2層の中空層で構成されたガラスです。

複層ガラスよりも断熱性能を高めやすく、寒冷地や高断熱住宅で採用されています。

ただし、ガラスの重量が増えるため、窓の開閉方式、金物、枠の強度、施工性に影響します。既存サッシへガラスだけを入れ替えられるとは限りません。

・Low-Eガラス

Low-Eは「Low Emissivity」、低放射を意味します。

ガラス表面に薄い金属膜を設け、放射による熱の移動を抑えます。複層ガラスやトリプルガラスと組み合わせて使用されます。

Low-Eガラスには、大きく分けて日射取得型と日射遮蔽型があります。

日射取得型は冬の日差しを室内へ取り込みやすく、南面の窓などに適しています。日射遮蔽型は夏の日射熱を抑えやすく、西面や東面、庇を設けにくい窓などに向いています。

すべての方位に同じガラスを使用するのではなく、方位ごとに使い分ける考え方が大切です。

南面は日射取得型ガラスと庇・シェードを組み合わせ、冬の日射を取り入れながら夏の日射を外側で遮る方法が効果的です。YKK APも、南面には日射取得型、東西北面には日射遮蔽型を使い分ける考え方を示しています。

・合わせガラス

2枚以上のガラスの間に中間膜を挟み、接着したガラスです。

割れても破片が飛散しにくく、防災、防犯、紫外線対策、遮音などを目的として使われます。防犯性能を求める場合は、中間膜の厚さや製品の認定内容を確認する必要があります。

・強化ガラス

ガラスを熱処理して強度を高めたものです。

通常のガラスより衝撃に強く、割れた場合は比較的小さな粒状になります。大きな開口、店舗、浴室、扉などで使われますが、強化ガラスだけで防犯ガラスになるわけではありません。

・網入り・線入りガラス

ガラス内部に金属網や金属線を入れたガラスです。

防火設備として使用される製品がありますが、「網が入っているから防犯ガラス」というわけではありません。むしろ網入りガラスは熱割れのリスクがあり、濃色フィルム、家具の密着、室内外の温度差などに注意が必要です。

防火地域、準防火地域では、サッシとガラスを組み合わせた認定防火設備を選ぶ必要があります。ガラスだけを任意に変更できない場合もあります。

・真空ガラス

2枚のガラスの間を真空に近い状態とし、熱の移動を抑えたガラスです。

薄い構成でも高い断熱性能を得やすく、既存サッシのガラス溝へ納められる改修用製品もあります。

ただし、既存枠がアルミの場合は枠部分の熱橋が残ります。ガラス中央部の性能だけでなく、窓全体の性能を考える必要があります。


▽主要サッシメーカーを俯瞰する


サッシの種類と主要メーカー
サッシの種類と主要メーカー

・YKK AP

住宅用窓では、樹脂窓「APW」シリーズを中心に高断熱化を進めています。

「APW 330」は複層ガラスを中心とした樹脂窓、「APW 430」は高性能トリプルガラス樹脂窓として知られています。「APW 511」は、大開口と断熱性能、眺望性を両立させたスライディング窓です。

アルミ樹脂複合窓、アルミ窓、内窓、カバー工法による交換窓、木製窓まで、住宅用窓を幅広く展開しています。

寒冷地だけでなく、関東以西でも樹脂窓の採用を広げ、方位別の日射取得・遮蔽を含めた窓計画を提案している点が特徴です。

・LIXIL

トステム、新日軽などの系譜を持ち、住宅用からビル用まで非常に幅広い開口部製品を扱っています。

「TW」はアルミと樹脂を組み合わせた高性能ハイブリッド窓、「EW」は樹脂窓です。トリプルガラス、複層ガラス、高日射取得仕様、防火戸など、建設地や設計条件に応じた選択肢があります。

リフォーム分野では、内窓「インプラス」やカバー工法の「リプラス」など、既存住宅の状態に合わせた改修製品が充実しています。

住宅設備や玄関ドア、エクステリアまで同一メーカーでまとめやすいことも、実務上の強みです。

・三協アルミ

住宅用サッシ、ビル用サッシ、玄関ドア、エクステリアを幅広く扱っています。

樹脂窓「スマージュⅡ」「トリプルスマージュⅡ」、アルミ樹脂複合窓「アルジオ」などを展開しています。

大型開口やビル建材、カーテンウォール、エクステリアまで対応でき、住宅から非住宅まで一貫した製品構成を持つことが特徴です。

・不二サッシ

住宅用建材だけでなく、ビル用サッシ、カーテンウォール、改修用サッシに強みを持つメーカーです。

マンション、オフィス、公共施設などの非木造建築では、住宅用商品とは異なり、建物ごとの設計条件、耐風圧性、水密性、防火性、施工方法に合わせたサッシが必要になります。

集合住宅の大規模修繕やビル改修では、こうしたビルサッシ系メーカーの技術が重要になります。

・木製サッシ専門メーカー

木製サッシは、大手総合メーカーだけでなく、アイランドプロファイル、キマド、タミヤ、森の窓など、専門メーカーがそれぞれ独自の製品を展開しています。

国産材、輸入材、アルミクラッド、トリプルガラス、大型引戸、回転窓、ヘーベシーベなど、得意とする構造や意匠が異なります。

木製サッシを選ぶ際は、初期性能だけでなく、塗装仕様、交換部品、金物の供給、再塗装方法、施工地域、アフターメンテナンス体制まで確認する必要があります。


▽ガラスメーカーの役割

国内の主要な建築用ガラスメーカーには、AGC、日本板硝子、セントラル硝子などがあります。

サッシメーカーのカタログに記載されるLow-E複層ガラス、防犯合わせガラス、遮熱ガラス、防火ガラスなどは、ガラスメーカーの技術と、サッシメーカーの枠・組立技術を組み合わせたものです。

同じ「Low-E複層ガラス」という名称でも、膜の種類、ガラス構成、色調、可視光透過率、日射熱取得率が異なります。

外観の色だけで選ばず、室内の明るさ、外から見た反射、室内からの色味、日射取得率まで確認することが大切です。


▽地域によって窓の選び方は変わる

日本の省エネルギー基準では、気候条件に応じて全国を1地域から8地域に区分しています。

北海道などの寒冷地では、冬の熱損失と結露対策を優先し、樹脂サッシとトリプルガラスが有力な選択肢になります。

東北、甲信越、山間部では、断熱性に加えて積雪、凍結、日射取得を考える必要があります。南面から冬の日射を取り込む設計が有効ですが、屋根からの落雪や窓まわりの雪処理にも配慮が必要です。

関東、東海、近畿などでは、冬の断熱と夏の日射遮蔽の両立が重要です。樹脂サッシまたは高性能なアルミ樹脂複合サッシを基本とし、東西面の日射対策を重視します。

九州、四国、沖縄などの温暖地では、断熱性能だけでなく、夏の日射遮蔽、通風、台風時の耐風圧性、飛来物対策が重要になります。

温暖地だから窓の断熱性能が不要ということではありません。外気温が高い地域では、冷房した室内へ熱を入れない性能が必要です。

海沿いの地域では、塩害にも注意します。

サッシ表面だけでなく、戸車、丁番、ビス、ハンドル、網戸、シャッターなどの金属部品に塩分が付着します。定期的な水洗いと清掃、メーカーが定める塩害地域向け仕様の確認が必要です。


▽窓を選ぶときに確認したい数字

窓の性能比較では、次の数字を確認します。

・熱貫流率・Uw値

窓全体をどれだけ熱が通過するかを表します。

単位はW/㎡・Kで、数字が小さいほど断熱性能が高くなります。

ガラス中央部だけのUg値ではなく、枠を含めた窓全体のUw値を見ることが重要です。

・日射熱取得率・η値

窓からどれだけ日射熱が入るかを表します。

数字が大きいほど日射熱を取り込みやすく、小さいほど遮りやすくなります。

冬の日射を利用したい南面と、夏の西日を抑えたい西面とでは、適切な値が異なります。

・気密性

隙間から空気がどれだけ出入りするかを示します。

同じ材質のサッシでも、引違い窓より、縦すべり出し窓やFIX窓の方が気密性を確保しやすい傾向があります。

・水密性・耐風圧性

雨水の浸入を防ぐ性能と、風圧に耐える性能です。

海沿い、高台、台風の多い地域、高層階、大きな窓では特に重要です。単に断熱性能だけで窓を決めることはできません。


▽改修方法は大きく4種類

・ガラスだけを交換する

既存サッシを残し、単板ガラスを複層ガラスや真空ガラスへ交換する方法です。

工期を抑えやすく、外観もほとんど変わりません。一方で、既存のアルミ枠は残るため、枠から伝わる熱や隙間風は改善しきれないことがあります。

既存サッシのガラス溝、建具の強度、戸車の耐荷重によって、入れられるガラスが制限されます。

・内窓を設置する

既存窓の室内側へ、もう一つ窓を取り付ける方法です。

二つの窓の間に空気層ができるため、断熱、防音、結露抑制の効果を得やすく、既存住宅の窓改修では有力な方法です。

ただし、窓を2回開ける必要があり、掃除する面も増えます。室内側の窓枠寸法が不足する場合は、ふかし枠や補強が必要です。

既存窓の結露や漏水原因を確認せずに内窓を設置すると、窓間に湿気が残ることがあります。

・カバー工法で交換する

既存の窓枠を残し、その上から新しい枠をかぶせる方法です。

外壁を大きく壊さず、サッシとガラスを一体で高性能化できます。内窓と異なり、開閉動作を一重のまま保てます。

一方で、新しい枠を重ねるため、ガラス面積や有効開口が小さくなります。既存枠の変形、腐食、漏水、下地の状態によっては採用できない場合があります。

・外壁を撤去してサッシを交換する

既存サッシを枠ごと撤去し、新しい窓を取り付ける方法です。

防水層、断熱材、下地まで含めて改修できるため、最も根本的な方法です。ただし、外壁、内装、シーリング、防水紙などの復旧を伴い、工事範囲と費用が大きくなります。

外壁改修や全面リノベーションと同時に行うと効率的です。


▽マンションの窓改修で注意すること

マンションでは、サッシや窓ガラスが共用部分として扱われることが一般的です。

専有部分の所有者が自由にサッシを交換できるとは限りません。管理規約、細則、管理組合の承認、外観統一、防火性能、遮音等級などの確認が必要です。

内窓は専有部分側へ設置するため比較的採用しやすい方法ですが、管理規約によって条件が定められていることがあります。

ガラスだけを交換する場合も、色、反射率、網入りの有無、防火認定、厚さなどを勝手に変更できない可能性があります。

また、マンションの窓では断熱性能だけでなく、既存建物が指定する遮音性能や耐風圧性能を維持しなければなりません。


▽改修時に見落としやすい注意点

窓を高性能化しても、取付部に隙間があれば十分な効果を得られません。

枠と下地の間に断熱材が適切に充填されているか、防水テープや防水紙が連続しているか、外部シーリングだけに頼った納まりになっていないかを確認します。

窓まわりに漏水跡や木部の腐朽がある場合は、先に原因を調査します。高性能な窓で隠してしまうと、内部で劣化が進むおそれがあります。

サッシ交換によって住宅全体の気密性が向上すると、換気計画の重要性も高まります。結露対策は窓だけで完結するものではなく、断熱、気密、暖房、換気、室内湿度を一体で考える必要があります。

また、窓を小さくすれば熱損失は減りますが、採光、通風、眺望、避難、排煙などの機能も低下します。

窓は「熱が逃げる弱点」であると同時に、光、風、景色、人の気配を建物へ取り込む重要な装置です。


▽サッシ選びの結論

サッシは、素材名やメーカー名だけで決めるものではありません。

まず、建設地の気候と住宅全体の断熱性能を確認します。そのうえで、窓の方位、大きさ、開閉方式、日射、眺望、防火、耐風圧、塩害、メンテナンス条件を整理します。

寒冷地や高断熱住宅では、樹脂サッシとトリプルガラスが有力です。

関東以西の住宅では、高性能なアルミ樹脂複合サッシまたは樹脂サッシを基本に、方位ごとにガラスと日射遮蔽を使い分ける方法が考えられます。

意匠性、自然素材、長期的な補修性を重視する場合は、木製サッシやアルミクラッド木製サッシも魅力的です。

改修では、ガラス交換、内窓、カバー工法、枠ごとの交換を、既存建物の状態と予算に応じて選びます。

重要なのは、カタログ上の最高性能を求めることではありません。

建物、地域、暮らし方に対して、枠、ガラス、日射遮蔽、換気、施工方法のバランスが取れた窓を選ぶことです。

壁の断熱性能を高める前に、まず窓を確認する。

サッシを知ることは、住宅の快適性と省エネルギーを考えるうえで、最も効果の見えやすい入口なのかもしれません。


最後までお読みいただき、ありがとうございます。 リフォーム・リノベーション、オーダー家具など、住まいや建築についてのご相談および記事に関するご意見等がございましたら、お気軽にお問い合わせください。 お問い合わせはこちらまでhttps://www.minnanoss.com/contact

コメント


bottom of page