障害のある方の為の住宅改修
ケース1
ダウン症お子さんの行動特性に配慮したキッチンの間仕切り
ダウン症をお持ちのお母さんから相談を受けました
こだわりの行動をお持ちのダウン症のお子さんはいつも何かに興味津々!
ママが忙しい時間に限ってトラブルが起きます。
「オープンキッチンに間仕切りを設置し調理に集中したい。!」切実な思いでした。
横浜市北部の閑静な住宅地に立つ3階建ての住宅。
5歳のトシ君はママが夕食の支度で忙しくなる夕方に遊びのピークを迎えます。
リビングキッチンが2階にあるためおもちゃの自動車に乗り階段からダイブしたり、キッチンカウンターに登ったりと…目が離せない。大きなけがをする前に…
キッチンを間仕切りで囲って調理に集中したい!
そんな思いを解決しました。
【設計ポイント】
-
アイランドキッチンカウンター天板に可動式のパネルを取り付ける
-
あわせてキッチンの袖に階段より来客があった際散らかったキッチンを 直視できないようデザインを合わせた袖パネルを取り付ける
-
2か所あるキッチンリビングにアクセスする出入口をフサギ 壁厚分の収納とする
-
すべての可動パネルには鍵を付け ただしその鍵は開閉時とも固定できるようにする
-
可動棚パネルは強固なものとし多少の衝撃に耐えうるものとする
-
圧迫感がなくデザイン性の高いもの
施工前
完成
引戸を閉じた状態
引戸を開けた状態
引戸連動金物を採用
引戸を閉じた状態
ケース2
発達障害のあるお子さんの行動特性に配慮したテレビ収納台
-
2009年 (社)かながわ住まい・まちづくり協会
バリアフリーリフォームコンクール優秀賞受賞作品
施工前
障害のあるお子さんをお持ちのCさんからご連絡をいただきました。
最初のお話は「TV台を造りたいのですが可能でしょうか?」
「大丈夫出来ますよ」
「そのテレビを箱の中にしましたいのです。
子供に知的障害があり今あるテレビに乗ったりたたいたりして危険なんです。そんなの相談に乗っていただけますか?」という切実さを感じたお電話でした・・・。
後日ご訪問。
とてもきれいに片付いたリビングに通され早速ヒアリグ…。
長男D君12歳は知的障害A、肢体障害3級のお子さんです。突起部や隙間に興味を示し指を入れたり、ひっぱったり叩いたりという行為があります。体も成長して力もついてきてます。親御さんは、「怪我をする前に先回りして対処をしなくていけない。
そこが一番気を使うんですよ」と語ります。それまで使っていたブラウン管のTVの上部は傷だらけで、ガムテープで補強してだましだまし使っていた具合です。
基本設計条件は
-
TVの前面はアクリル板でふさぎTVに直接触れないようにする
これを機に新しいTVを購入。もちろん薄型地デジ対応を購入予定 -
そのアクリル面も就寝時にはふたをしてします。
-
飾り戸棚のスペースがほしい
-
ゴミ箱の収納スペースがほしい
-
取手は埋め込み式とし突起しない
-
扉には同一キーにて施錠できるようにする
-
扉の開閉にはボタン式の金物を使う
-
表面はフラットとする
などなど条件盛りだくさんです。
3度の設計変更などを含めた打ち合わせをして出来上がったのがこの作品です。
1年ほどあちらこちらを探し回りたどり着いたのが弊社でした。
通販既製品のTV収納やIKEAに出向いたりと歩き回ったとのことです。現在は自治体のバックアップもかなり整っていて今回プロセスのひとつとして、お子さんが通園している地域療育センターの依頼により、同事業団のリハビリテーションセンターの工学技師が、出向き親身にさまざまな案が出ていたのも興味深いです。逆に弊社の設計資料をチェックしもらいアドバイスいただくシチュエーションもありました。
このような案件の紹介を弊社ホームページやわたしのブログで紹介したいのですがと親御さんにお願いしたところ快く承諾していただき感謝に堪えません。
この作品によって少しでもお子さんとその家族の負担が軽減することを祈ると同時に状況は千差万別ですが障がいのあるご家族の参考になれば幸いです。
-
お子さんの心身状況:地域療育センターに通う6歳男児。療育手帳A1、身体障がい者手帳3級。ブラン管テレビに登る、画面を叩く、テレビを落とす、収納扉のガラス戸を何度も開閉するなどの行動が顕著であった。
-
横浜市総合リハビリテーションセンターで自閉症(発達障害)の住宅改造を実施しているという話を友人から聞いたのがきっかけ。
-
地域療育センターのソーシャルワーカー、工学技師から行動特性のヒアリング、アドバイスをもとにこのテレビ収納台を製作した。
-
2009年 (社)かながわ住まい・まちづくり協会 バリアフリーリフォームコンクール優秀賞受賞作品
行動特性例
完成
収納扉を閉じた状態
収納扉、抽斗を全開
テレビ収納引出ボックスを開く
収納扉を閉じた状態