築40年超えマンションは本当に古いのか?
- kojo masaaki

- 6月1日
- 読了時間: 4分
建築の現場から見た「寿命」の話
最近、築40年を超えるマンションのリノベーション相談が増えています。
現在進行中の現場も1982年8月竣工。
つまり築44年のマンションです。
不動産サイトを見ると、
「築44年」
という数字だけで不安になる方も少なくありません。
しかし建築の仕事を長くしていると、少し違う見方をするようになります。
私は現場を見る時、
「建物の年齢」
よりも
「何がどれだけ劣化しているか」
を見ます。
なぜなら建物は部位によって寿命が全く違うからです。
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▽コンクリートは思っているより長生きする
意外に思われるかもしれませんが、マンションの躯体である鉄筋コンクリートは非常に耐久性の高い材料です。
国土交通省や日本建築学会の長寿命化研究では、適切な維持管理が行われた鉄筋コンクリート建築は100年前後の使用も十分視野に入るとされています。
実際に日本建築学会では、高品質な建築物の目標耐用年数として100年程度という考え方も示されています。
近年では100年仕様、200年仕様のコンクリート技術も実用化されています。
つまり築44年という数字だけを見ると古く感じますが、コンクリート躯体そのものはまだ折り返し地点に近い可能性すらあるのです。
もちろんこれは管理状態や中性化の進行状況によります。
だからこそ私たちは、
・外壁修繕履歴
・漏水履歴
・管理組合の運営状況
・長期修繕計画
を重視します。
人間でいえば年齢ではなく健康診断を見るようなものです。
本当に寿命を迎えるのは「設備」と「仕上げ」
一方で住宅設備や内装材は話が変わります。
例えばフローリング。
一般的な複合フローリングの更新目安は10〜15年程度と言われています。
特にマンションでは、
・床鳴り
・表面剥離
・日焼け
・継ぎ目の浮き
・下地接着剤の劣化
などが発生します。
最近も床鳴り相談が非常に増えています。
お客様は
「建物が傷んでいるのでは」
と心配されますが、実際にはフローリングや接着層の経年劣化が原因であるケースも少なくありません。
つまり、
築44年だから床が悪い
のではなく、
20年前に施工した床材が寿命を迎えている
という考え方です。
これは車で言えばタイヤ交換に近い話です。
車体はまだ走れる。
しかし消耗品は交換が必要。
建物も同じです。
▽だからリノベーションという選択肢が生まれる
今回の現場では天井や壁のプラスターボードを撤去し、コンクリート躯体を現した空間へと作り替えています。
床には天然木のオイル仕上げフローリングを採用予定です。
築44年という数字は変わりません。
しかし生活の質は大きく変わります。
私はリノベーションの面白さはここにあると思っています。
古い建物を壊してゼロにするのではなく、
活かせる部分は活かし、
更新すべき部分だけ更新する。
建築的にも環境的にも合理的です。
▽しかし今、新たな問題が起きている
最近のリフォーム現場ではもう一つ悩ましい問題があります。
設備機器の供給です。
特にユニットバス。
2026年に入り、中東情勢の悪化によるナフサ系原材料の供給不安から、大手メーカーがユニットバスの受注停止や納期調整を行う事態が発生しました。
「供給は安定している」
という報道もあります。
しかし現場感覚としては少し違います。
接着剤。
シンナー。
塩ビ材料。
副資材。
実際にホームセンターでも数量制限が続いている商品があります。
建築は木材やコンクリートだけでは成立しません。
ひとつの接着剤が止まるだけで工事全体が止まることがあります。
今回のユニットバス問題もまさにその典型でした。
▽築年数だけでは建物の価値は測れない
私は築44年のマンションを見て、
「古い建物」
とは思いません。
むしろ、
立地
構造
管理状態
将来性
これらを見ます。
コンクリート躯体はまだ活かせる。
設備は更新できる。
内装は生まれ変われる。
だからこそ中古マンション+リノベーションという選択肢は、これからさらに増えていくと思います。
建物は古くなります。
しかし暮らしは新しくできる。
数字だけでは見えない建物の価値を、私たちは現場で毎日のように見ているのです。
【参考資料・出典】
・一般財団法人 日本建築センター
「鉄筋コンクリート造建築物の耐用年数評価」
・文部科学省
「学校施設の長寿命化に関する基本的な考え方」
・日本建築学会
「建築物の耐久計画に関する考え方」
・清水建設
「100年仕様コンクリート・200年仕様コンクリート」
・SUUMOリフォーム
「床材ごとの耐用年数と張り替え時期」
・FNNプライムオンライン
「TOTOユニットバス受注停止に関する報道(2026年4月)」
・Bloomberg / TBS CROSS DIG
「中東情勢による住宅設備供給への影響」



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