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築40年超えマンションは本当に古いのか?

建築の現場から見た「寿命」の話


最近、築40年を超えるマンションのリノベーション相談が増えています。

現在進行中の現場も1982年8月竣工。

つまり築44年のマンションです。

不動産サイトを見ると、

「築44年」

という数字だけで不安になる方も少なくありません。

しかし建築の仕事を長くしていると、少し違う見方をするようになります。

私は現場を見る時、

「建物の年齢」

よりも

「何がどれだけ劣化しているか」

を見ます。

なぜなら建物は部位によって寿命が全く違うからです。



・・・目次・・・



築40年超えマンションは本当に古いのか?
築40年超えマンションは本当に古いのか?
築40年超えマンションは本当に古いのか?
築40年超えマンションは本当に古いのか?

▽コンクリートは思っているより長生きする



意外に思われるかもしれませんが、マンションの躯体である鉄筋コンクリートは非常に耐久性の高い材料です。


国土交通省や日本建築学会の長寿命化研究では、適切な維持管理が行われた鉄筋コンクリート建築は100年前後の使用も十分視野に入るとされています。


実際に日本建築学会では、高品質な建築物の目標耐用年数として100年程度という考え方も示されています。


近年では100年仕様、200年仕様のコンクリート技術も実用化されています。


つまり築44年という数字だけを見ると古く感じますが、コンクリート躯体そのものはまだ折り返し地点に近い可能性すらあるのです。


もちろんこれは管理状態や中性化の進行状況によります。


だからこそ私たちは、


・外壁修繕履歴

・漏水履歴

・管理組合の運営状況

・長期修繕計画

を重視します。


人間でいえば年齢ではなく健康診断を見るようなものです。



本当に寿命を迎えるのは「設備」と「仕上げ


一方で住宅設備や内装材は話が変わります。

例えばフローリング。

一般的な複合フローリングの更新目安は10〜15年程度と言われています。


特にマンションでは、


・床鳴り

・表面剥離

・日焼け

・継ぎ目の浮き

・下地接着剤の劣化


などが発生します。

最近も床鳴り相談が非常に増えています。

お客様は

「建物が傷んでいるのでは」

と心配されますが、実際にはフローリングや接着層の経年劣化が原因であるケースも少なくありません。

つまり、

築44年だから床が悪い

のではなく、

20年前に施工した床材が寿命を迎えている

という考え方です。

これは車で言えばタイヤ交換に近い話です。

車体はまだ走れる。

しかし消耗品は交換が必要。

建物も同じです。



▽だからリノベーションという選択肢が生まれる


今回の現場では天井や壁のプラスターボードを撤去し、コンクリート躯体を現した空間へと作り替えています。

床には天然木のオイル仕上げフローリングを採用予定です。

築44年という数字は変わりません。

しかし生活の質は大きく変わります。

私はリノベーションの面白さはここにあると思っています。

古い建物を壊してゼロにするのではなく、

活かせる部分は活かし、

更新すべき部分だけ更新する。

建築的にも環境的にも合理的です。



▽しかし今、新たな問題が起きている



最近のリフォーム現場ではもう一つ悩ましい問題があります。

設備機器の供給です。

特にユニットバス。


2026年に入り、中東情勢の悪化によるナフサ系原材料の供給不安から、大手メーカーがユニットバスの受注停止や納期調整を行う事態が発生しました。

「供給は安定している」

という報道もあります。



しかし現場感覚としては少し違います。

接着剤。

シンナー。

塩ビ材料。

副資材。


実際にホームセンターでも数量制限が続いている商品があります。


建築は木材やコンクリートだけでは成立しません。

ひとつの接着剤が止まるだけで工事全体が止まることがあります。

今回のユニットバス問題もまさにその典型でした。



▽築年数だけでは建物の価値は測れない



私は築44年のマンションを見て、

「古い建物」

とは思いません。

むしろ、

立地

構造

管理状態

将来性

これらを見ます。

コンクリート躯体はまだ活かせる。

設備は更新できる。

内装は生まれ変われる。

だからこそ中古マンション+リノベーションという選択肢は、これからさらに増えていくと思います。

建物は古くなります。

しかし暮らしは新しくできる。

数字だけでは見えない建物の価値を、私たちは現場で毎日のように見ているのです。


【参考資料・出典】


・一般財団法人 日本建築センター

「鉄筋コンクリート造建築物の耐用年数評価」


・文部科学省

「学校施設の長寿命化に関する基本的な考え方」


・日本建築学会

「建築物の耐久計画に関する考え方」


・清水建設

「100年仕様コンクリート・200年仕様コンクリート」


・SUUMOリフォーム

「床材ごとの耐用年数と張り替え時期」


・FNNプライムオンライン

「TOTOユニットバス受注停止に関する報道(2026年4月)」


・Bloomberg / TBS CROSS DIG

「中東情勢による住宅設備供給への影響」

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