暮らしを再設計するリノベーションのこれから|第1回
- kojo masaaki

- 7月27日
- 読了時間: 5分
リフォームとリノベーションの違い|直す工事と、暮らしを再設計する工事

「リフォームとリノベーションは、何が違うのでしょうか」
住まいの相談を受けていると、よく聞かれる質問です
一般的には、小規模な工事をリフォーム間取りを大きく変更する工事をリノベーションと呼ぶことがあります
しかし、工事金額や工事範囲の大小だけでは、本当の違いは説明できません
結論からいえば、リフォームは主に建物の傷みや不具合を直し、必要な機能を回復させる工事です
一方のリノベーションは、今ある建物を生かしながら、これからの生活に合わせて、その役割や価値を組み直すことです
▽リフォームは、今の状態を整える工事
古くなったキッチンを交換する
汚れた壁紙を貼り替える
傷んだ床を新しくする
故障した給湯器やトイレを交換する
こうした工事は、一般的にリフォームと呼ばれます
傷んだ部分を修繕し、使いにくくなった設備を交換して、住宅としての機能を回復させることが主な目的です
暮らしを維持するために欠かせない、大切な工事です
リフォームだから簡単というわけでもありません
床を貼り替えるだけでも、下地の状態、遮音規定、段差、建具との取り合いなど、事前に確認すべきことがあります
表面だけを新しくしても、下地や配管に問題が残っていれば、数年後に再び工事が必要になる場合もあります
▽リノベーションは、これからの生活を考える工事
例えばキッチンが古くなったとします
同じ位置に同程度のキッチンを設置するのであれば、設備交換を中心としたリフォームです
しかし、キッチンを交換する前に、
なぜ使いにくいのか
家族はどこで食事をするのか
料理をしながら誰と、どのように過ごしたいのか
収納は本当に足りないのか
将来、家族構成はどう変わるのか
と考え始めると、計画は単なる設備交換ではなくなります
壁を取り払い、独立していたキッチンをリビングとつなげる
ダイニングテーブルと作業台を兼用する
家電や食器だけでなく、日用品までまとめて収納する
家族が集まる場所として、キッチンを住まいの中心に置き直す
これは、設備を新しくすることよりも、生活そのものを再設計する行為です
こうした考え方が、リノベーションです
▽工事が大きければリノベーションなのか
建物を一度スケルトン状態にして、内装や設備をすべて新しくしても、以前とほぼ同じ間取りに戻すのであれば、大規模なリフォームと考えることもできます
反対に、一室だけの工事でも、その部屋の役割や生活の仕方を根本から見直せば、小さなリノベーションになり得ます
違いを決めるのは、工事の大きさではありません
何を直すかだけを考えるのか
それとも、これからどう暮らすかまで考えるのか
その目的の違いです
なお、「リノベーション」という言葉について、建築基準法上の独立した工事区分は今回確認した国土交通省資料では確認できません
法制度上は、リフォーム、増築、改築、大規模の修繕、大規模の模様替など、実際に行う工事内容によって扱いが判断されます
そのため、広告に「リノベーション」と書かれているからといって、法規上も特別な種類の工事になるわけではありません
名前よりも、どこを、どの程度、どのように改修するかが重要です
▽リフォームとリノベーションは対立しない
一つの工事の中には、リフォームとリノベーションの両方が含まれます
故障した給湯器は交換する
老朽化した配管は更新する
断熱性能が不足していれば改善する
そのうえで、間取りや収納、光の入り方、家族の居場所を見直す
必要な修繕を行いながら、生活の価値を高めることが、現実的なリノベーションです
何でも壊し、すべてを新しくすることがリノベーションではありません
使える部分は残す
直すべき部分は直す
不足している性能は補う
これからの暮らしに合わない部分だけを組み替える
既存建物の長所と短所を見極めることが、リノベーション設計の出発点になります
▽まず、商品ではなく生活の話をする
リノベーションを考え始めると、キッチンのメーカー、床材の色、壁紙の柄などに目が向きがちです
しかし、最初に決めるべきなのは商品ではありません
現在の生活で困っていること
気に入っていて残したいもの
家族が集まる時間と場所
一人で過ごすための場所
収納する物の種類と量
10年後、20年後の暮らし方
こうした生活の話を整理してから、間取りや設備、材料を選びます
住まいに生活を合わせるのではなく、生活に住まいを合わせ直す
それが、私たちが考えるリノベーションです
リフォームが今の住まいを整える工事だとすれば、リノベーションは、これからの生活を設計する工事です
どちらが優れているという話ではありません
必要なのは、傷んだ部分を直すことなのか
それとも、暮らし方から見直すことなのか
そこを見誤らないことが、住まいづくりの第一歩になります
参考資料
国土交通省「既存住宅・リフォーム市場の活性化に向けた取組み」参照日:2026年7月26日。
国土交通省「木造戸建の大規模なリフォームに関する建築確認手続について」2025年4月施行制度に関する資料、参照日:2026年7月26日。
国土交通省「住宅履歴情報とは」参照日:2026年7月26日。



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